| 鐵について |
| 第1話 「鐵」と地球の関わり |
| 宇宙に存在する元素の95%は水素とヘリウムですが、これはビッグバンと呼ばれる大爆発で宇宙の歴史が始まり、爆発の直後に最も単純な陽子一つだけの水素の原子核が生まれ、水素が高温の環境下で融合してヘリウムが出来ましたがそれ以上は温度が下がって融合が起きなかったためと考えられています。 | |
|
水素とヘリウムは原子となり宇宙を漂いながら分布が密なところにどんどん集まって、ガスが集まり星となり重力により押し付けられ温度が上がり、そこで核融合が始まると、だんだんと重たい原子が出来ていきますが、行き着くところは鐵になります。 鐵の原子核はすべての原子核の中で一番強い結合を持っているので、それ以上の原子は出来ないはずなのですが、星が大きくなると重力による収縮が進み、星の末期として超新星爆発になり、この時の巨大なエネルギーにより鐵以上の原子番号を持つ元素が誕生します。 超新星爆発により飛び散った元素が集まり更なる新しい星になります。 太陽もこうして出来ました。 太陽に集まりきれなかった星屑は多数の小惑星になりそれらが合体して惑星になったと考えられています。 |
|
| ##終戦直後、姫路市広畑中学で教鞭をとられていた私の尊敬する恩師黒岩先生は、自分で磨いたレンズで天体望遠鏡を自作されていた。天体を覗いた時の感動は今でも忘れられない。このときの感動が理工系を目指した引き金になった。今では日本のすばる望遠鏡と、アメリカのハッブル望遠鏡が群を抜いたすばらしい画像を見せてくれる。時々覗いては心を和ませている。 | |
| 地球は生まれたての頃は高温で少なくとも半溶融状態で重力により重たいものから中心に集まり、地球の中心に400万気圧5000度の鐵の固体(内核)、でその上に溶融した鐵(外核)が直径の約半分を占め、さらにマントルがかぶさり、その上にごく薄い表皮が乗る構造が出来上がりました。 | ![]() |
|
この外核は時間当たり10mほどの速度で対流し地球内部に巨大な電流を発生し、これにより地球は大きな磁石になっていて、この地磁気のおかげで太陽風は地球に直接当たることなく地球上の生命体を保護しています。 鐵より軽いマントルは核の鐵で熱せられてマグマを湧き出し表皮を突き破り、海底に湧き出したものがプレートを形成し2〜10m/100年の速さで移動しています。 世界最大の太平洋プレートは東太平洋の海底で誕生し日本海溝まで2億年かけて到着しユーラシアプレートにぶっつかりマグマの中に沈み込んでいます。 地球の構成比率を見ると鐵35%、酸素30%、珪素15%、マグネシウム12%とこの4種類だけで90%以上を占めます。このように鐵は宇宙の進化の終点に位置する面白い元素です。 |
|
| ##昨日から三宅島の集団疎開が始まった。ハワイ諸島が海底プレートにより誕生しては消えてゆくとか、伊豆半島が海底プレートによって運ばれてきたとか、マクロ的には理解しているものの現実問題として、自然のエネルギーの前には人間の能力って小さいものだな〜と変に感心しているところ。 |
| 鉄は多くの金属の中で異質の特徴を持っています。その異質性は水と良く似ています。いろんな物を溶かし込むこと、雪や霜に変態すること、氷になると膨張することなどです。鉄も非常に包容力があっていろんな元素を溶かし込むことが出来ること、温度によって結晶構造を変え、これにより体積が変化して溶かし込んだ元素を取り込んだり吐き出したりして性質を変えます。 |
| 温度によって結晶構造を変えることを変態といいます。鐵は常温では原子配列がbccと言われる体心立方格子ですが、910℃以上の温度になるとfccと言われる面心立方格子配列に変わります。 この突然変異を起こす温度を「変態点」と言います。変態とはちょっと不思議な言い方に感じられるかもしれませんが、つまり「性質がガラッと変ること」です。 |
|||||
|
|
鉄の性質の変化に重要な役割を果たす元素は炭素です。極く微量の炭素量の変化で鉄と炭素の合金の性質は大きく変化します。一般に鉄鋼(Iron and Steel)と良く言いますが、鉄と鋼の違いは炭素量が2%以下のものを鋼(steel)と言い2%以上含有するものを鉄(iron)と言います。このほかの元素も鉄の性質に影響を及ぼします。ファラデーの法則で有名なマイケル ファラデーはこの鉄に及ぼす種々の元素の研究の創始者でもあります。 |
| ##こんなすばらしい材料でありながら、大根より安い価格で供給されています。私が鉄鋼界に身を投じてこの方40数年ですが今でも当時とほぼ同じ値段で取引されています。優等生だと思うのは私だけでしょうか? |
|
鐵は宇宙からの人類への最大の贈り物ではありますが、これが工業的に原料として使えるように偏在している仕組みが必要です。この巧妙な仕組みは次のように考えられています。 原始地球は今の金星のように水蒸気と炭酸ガスで満ちていたと考えられます。 温度が下がると水蒸気が酸性の水になり、地上に海を作りました。(金星では太陽に近く、高温のため、水蒸気は雨にならず紫外線で分解され宇宙に飛散し大気は炭酸ガスが殆どである) この塩酸酸性の水は風化した岩石を溶かして鉄やカルシュウムなどを溶かし出すとともに中和されて中性になって行きました。太陽のエネルギーが届き、紫外線は吸収される水深50mから100mの酸素の無い海中で生命体が誕生したと考えられています。 この生命体から光合成で酸素を作る植物が発生し、発生した酸素は海中に大量に溶けている鉄と結びついて酸化鉄となり海底に沈殿させました。 こうして海中に溶けていた鉄やカルシュウムが酸化鉄として沈殿したり石灰岩となって薄まって行くと、生物の繁殖は一層活発になり光合成をキーにしたこの反応が更に進みました。酸素は海中に溶けていた鉄を15億年以上掛けて酸化し沈殿させたのち大気に出て行きました。 このようにして鐵は生物が存在する前に酸化鉄として沈殿集積したからこそ、現在我々が純度の良い原料として大量に使用することが出来るようになりました。 大気に出た酸素は徐々に増加し4億年前に現在の組成になり、上空にオゾン層を形成し太陽からの紫外線を吸収したので陸上に生物が住めるようになりました。 地球は鐵と大気のおかげで生物の住める環境を得たのです。即ち隕石(宇宙塵)は大気中の酸素により殆ど燃焼してしまいます。 太陽風(α、β線)は磁力で遮断しています。γ線、X線は大気中の酸素、窒素が、紫外線はオゾン層が吸収しています。このようにして地球は大気の温室効果と海と大気の循環と相俟って生物が存在することが出来るようになりました。 炭酸ガスは水に溶けやすく殆どの炭酸ガスは石灰岩として固定され、現在大気として残っている炭酸ガスは2兆トン強で、光合成など植物の消費量で換算するとわずか7年分です。 「炭酸ガス(Co2)に付いて」環境問題から排出量を規制する動きがありますが、植物の立場から見ると、現在の炭酸ガス濃度は低く、光合成の反応は抑えられています。 現状の2から3倍の濃度、30度の気温が光合成(植物の成長)にもっとも適した条件です。 確かに地球温暖化によって海水面は上昇するでしょうが、地球の長い歴史から見ると氷河期と間氷期の繰り返しであり、氷河期には海水面は低くなり、間氷期には高くなります。縄文時代には気温は現在より2度ほど高く海水面が現在よりかなり高かったので関東平野の低地はほとんど海でした。 |
| ##炭酸ガス問題は地球温暖化による海水面の上昇という見地でなく、地球と生物が何億年という時間を掛けて作った石油、石炭などの資源をわずか100年ほどで使い尽くすことの是非を問い掛けるべきでしょう。 省資源省エネルギーの活動と実践。食料の増産、人口問題への取り組みが必要なのではないでしょうか。 |